妊娠中に良い食事とは

妊娠初期の栄養について

妊娠初期の栄養・妊娠中の食事と赤ちゃんの先天異常の関係が指摘されている栄養素があります。
葉酸の不足、ビタミンAや水銀の過剰摂取などですが、特に葉酸は、妊娠中だけではなく、妊娠前からの摂取が勧められています。
今日から葉酸摂取に努めることが良いでしょう。
 

葉酸の摂取について

二分脊椎症は、日本では赤ちゃん1万人のうち約4人に起こる歩行困難や排泄障害を伴う脊椎の病気です。妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月(妊娠11週)まで毎日400 μg(マイクログラム)の葉酸摂取を続けると発生が減少します。
葉酸はビタミンBの一種で、ほうれん草、ブロッコリー、いちご、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれていますが、水・熱・光に弱いため調理で栄養を損失してしまうことが多く、ふだんからこれらの食材を食べていても不足がちになってしまいます。このため、葉酸はサプリメントで400〜480 μg を毎日摂取することをお勧めします。葉酸は、二分脊椎症や無脳症などの神経管閉鎖障害ばかりでなく、口唇裂・口蓋裂や心臓の奇形を減らす効果もあり、貧血の予防効果もあります。

動物性ビタミンA(レチノール)の過剰摂取について

ビタミンAは妊娠中も必要なビタミンですが、妊娠3ヶ月までの過剰摂取により赤ちゃんの耳の形態異常が増えることがわかっています。
妊娠中の必要量は1日2000 IU(600μg)で、上限は1日 5000 IU(1500μg)です。ビタミンAは、通常の食事では、過剰摂取になることも不足することもありませんが、ビタミンAを含むサプリメントにより過剰摂取になる可能性があります。ビタミンAには、動物性食品に含まれるレチノールと、緑黄色野菜に含まれ体内でビタミンAに変わるβ-カロテン(β-カロチンともいいます)があり、過剰摂取で問題になるのはレチノールです。β-カロテンは、ビタミンAの前駆物質であり、ビタミンAが不足すると必要な量だけがビタミンAに転換されるしくみなので、たとえ大量に食べてもビタミンAは過剰にならないので安全です。
 
■ビタミンA(レチノール)が多く含まれる食品
あゆ(養殖/焼き) 50g 10000 IU
あゆ(天然/焼き) 50g 3300 IU
うなぎ(蒲焼)  100g 5000 IU
ほたるいか(ゆで)  50g 3200 IU
鶏レバー 10g 4700 IU
あんこう肝 10g 2800 IU
豚レバー 10g 4300 IU
ぎんたら 50g 1800 IU
牛レバー10g 4100 IU
フォアグラ50g 1700 IU
※サプリメントと違い毎日摂取するものではありませんので、食事で過剰摂取になることはありません。

妊娠初期に補いたい栄養素

通常は、葉酸単独のサプリメントでよいと思いますが、つわりや偏食などでビタミンも摂取したい方は、マルチビタミンを購入してください。
ビタミンAを含まずに葉酸が含むものを選ぶか、成分のビタミンAがβ-カロテンであると明記してあるものを選んでください。

水銀の過剰摂取について

最近、魚類に含まれる水銀が、魚の種類や摂取量により過剰摂取になり、胎児に影響を与える可能性があるとの警告がなされています。ただし、通常の食事では、過剰摂取となる可能性は非常に低く、むやみに心配する必要は無いと言われています。
厚生労働省から、摂取量の目安が発表されていますので、それを参考にしてください。
 

赤ちゃんの味覚について

赤ちゃんの味覚は妊娠12週頃から芽生え、嗅覚は28〜32週頃に出現します。
妊娠中のお母さんの食事のにおいと味の一部が羊水中に移行し、その味覚・嗅覚を覚えながら胎内生活を過ごしています。